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特集 私の職業奉仕(3)

 京菓子資料館を通しての私の職業奉仕『和みの文化を』 石原義正(京都西RC)
 お菓子を食べて悲しんだり怒ったりする人はありません。一服のお茶とお菓子で、そこには楽しい和みの場ができます。時には語り合いの場もできます。一つのお菓子が、人と人を和やかな空間に導いてくれるのです。
 私は京菓子作りを伝承していく立場の中にあって、私の職業奉仕の原点はここだと思っています。
 幸いにも、私には先代が残してくれた京菓子に関する貴重な資料があり、すでに「ギルドハウス京菓子」という名前でその資料を一般に公開してまいりました。京菓子ばかりでなく和菓子全般の歴史のなかで、京菓子に関わる文化がどのように変遷を遂げてきたかということや、菓子作りの技の最高峰ともいわれる京菓匠が創る「糖芸菓子」もその資料に加え、実際にお抹茶とお菓子を召し上がっていただく場も提供してきました。
 京菓子の文化を資料と共により多くの皆さんに知っていただく、そして和んでいただく。京菓子職人からみれば、「そんなことしている暇があったら、もっと技を磨いてええ菓子作りなはれ」と言われそうなことです。基本的に技は一番大事なことなのですが、より多くの人たちとの関わりの中で、京菓子文化をいかにして広め、和みの空間をいかに多くの人に持っていただけるか、その場作りに努力することも、大切なことだと思っています。
 考えてみれば「他への寄与」という観点からいって、これは私の職業を通しての奉仕精神の発露の場の一つだともいえます。
 先代の留治郎は、根っからの菓子職人でありながらも、京菓子の文化を理解し、広い視野から諸資料を収集して次世代のために残していったわけですから、当時もし先代がロータリアンであれば、立派な職業奉仕を実践したと称賛されたことと思います。
 さて、そうこうしている間に、時代は変わり二十一世紀。この貴重な資料をもっと多くの人達のために使うことはできないかと、いろいろと知識人の皆さんや友人たちにも力を借りて、地域との密着性も考慮して、資料館を増設拡大いたしました。新しく、生涯学習の場や、課外学習の場として活用できる体制作りを取り入れ、地域社会へご奉仕できる機会が増えればと考えています。
 職業奉仕として難しく考えればいくらでも難しくなります。要はいかに奉仕の精神を自覚して実践するかにかかってくるとおもいます。人格を高めるためにも大切なことです。

 地域における子育ての社会支援 河村喜太郎(桜井RC)
1.「子育ての社会支援」の基本概念
 地域(市町村)においては子育て(子どもの社会人としての自立を目的とする)に関して、保育所、幼稚園、学校、児童福祉施設、保健センタ−、行政、医療、司法など、各種の社会機関、団体がそれぞれの分野において、独自の目的をもって役割を果たしています。
 しかし、子育ての問題はそれだけで完結するものではありません。家庭において、子育てに悩んでいる、困っている、問題があるケ−ス多様であり、複雑です。児童虐待、不登校、ひきこもり、問題行動、非行、発達障害など子どもの社会人としての自立を妨げる問題は深刻であります。
 それらの個別のケ−スに関しては、世間という壁に阻まれて、一人の人間、単独の社会機関、団体だけでは歯が立たない、役に立たないことにまだ、社会全体が気づいていないのが現状です。
 子育てに関して家庭への援助をするためには、相談・援助の専門機関の存在が不可欠です。本来、この役割を果たすべき児童相談所は、都道府県の機関であり、児童虐待など緊急的に子どもを保護するために行政権限をもって対応することに重点を置く存在であると位置づけられています。
 私の運営する社会福祉法人飛鳥学院に所属する「児童家庭支援センタ−あすか」が、相談援助の専門機関として、ソ−シャルワ−カ−と臨床心理士を配置して、個別のケ−スに対し、法人の機能と人材を活用し、さらに関係機関・団体の異質の特徴と機能を活かし、それぞれが役割分担をして、「ケ−スマネジメント(段取り)」を行い、『システム』的で適切な役に立つ援助をすることを目的として活動をしています。『システム』とは不可能を可能にするプロセスであり、『バ−ベキュ−の串』ともたとえられます。
 地域における子育ての社会支援システムの構築は、以上の考えを基本として、推進しています。
2.「社会福祉法人 飛鳥学院」の実践
(1)法人の事業概要
「児童養護施設飛鳥学院」(なんらかの事情で、家庭で養育できない子どもの自立支援が目的)
「飛鳥学院保育所」(0歳から就学前までの児童の保育と、在宅で子育てをしている女子への支援のための地域子育て支援センタ−「やまぼうし」を開設)
「児童家庭支援センタ−あすか」(相談・援助の専門機関)
「学童保育所」(放課後児童健全育成事業を4ヶ所で実施)
「奈良児童虐待防止ネットワ−クきずな」の事務局を担当。(民間団体として地域における子どもへの虐待の発見と防止活動への支援などを行う。弁護士・医師、各分野の専門家により構成)
(2)法人の役割と活動
 当法人では、以上のような法人の有する施設と人材を活用し、相談援助の専門機関としての「児童家庭支援センタ−あすか」を「バ−ベキュ−の串」としてケースマネジメントを行い、桜井市を中心とした周辺の市町村を対象に「子育ての社会支援システム」を確立し、子育ての社会支援の「総合施設」として、役に立つ支援サ−ビスを積極的に展開していくことを、法人の『使命』(MISSION)としています。
(ちなみに各社会機関との連絡は、ロ−タリ−財団の支援により、桜井ロ−タリ−クラブから寄贈された軽自動車を活用しています)

 職業と奉仕 宮下晃一(京都洛東RC)
 呉服業界は、今大変な状態になっています。昭和60年代のよき時代の売上げが平成17年には18%程になっています。西陣の織物は3%の生産と、京友禅も5%の生産ピーク時から見ればおどろくほど低下しています。原因は着物を着なくなったこと、日本の伝統文化と芸術が教育の場からなくなってきたこと、学校が日本のすばらしい文化に目を向けない教育者が多くなってきたこともあると思われます。一番悪いのは業界の人々、私もふくめて、利益を求めることに重点をおいた働きに終始してきた為と反省をしています。西陣織は京都から地方に、地方から外国に、京友禅も京都から地方に、地方から外国に、大切な技術も京都から外国へ行ってしまって技術者も育てられなくなった、そして仕事もなくなってきた地場産業です。利益の追求から技術と仕事の内容を追求する我々の姿勢が求められている時代が来ると思います。

         温故知新 古きをたずねて 新しきを知る

 先人達が損得を越えてよき遺産を未来に生かすことに、私達が実践してゆくことが業界の奉仕と思います。
 先日、ある仕入問屋の番頭に私のことを業界の化石だと言われてしまいました。なぜと聞くと職人さんと話が出来る、問屋と話が出来る、そんな人が居なくなったからと言うんです。不思議なことです。変な時代になってきたこと、あたりまえのことが出来ない時代なのかな。
 私は呉服の仕事をして50年になります。小学校の頃、父は着物の注文をもらって自分で友禅をしていました。手伝いで私は祇園石段下から市電に乗って、四条西洞院で北野天神行のちんちん電車に乗換える。シイソウのように、前後左右にふれるなつかしい乗りごこち、すぐに二条城前で降りて、職方まわりをして、わけもわからず手伝っていました。やさしい職人さん、厳しい職人さん、いついつまでに仕上げなくてはとお願いをしてまわったことをなつかしく思います。
 今年62才、多くの人とめぐりあい、たくさんのことを学び、人と人との尊い絆によって生かされていることに感謝の出来る、出来るように心掛ける私になることで、奉仕の尊さを感じるものです。人と人との縁に育てられた恩に感謝をしてゆきたいと思います。
 昨年新店舗が出きて、看板が二つかけてあります。一つは、京ごふく 宮下 大徳寺のお尚誡堂さまに書いていただいた看板、もう一つは、月心寺の庵主さまに書いていただいた看板です(よろずや)どうしてよろずや。実は私がお願いしたのは(京のものづくりや)とお願いしたのです。京都にはたくさんの伝統工芸品、陶磁器や京漆器、京菓子、京料理、お茶、そのほかにもいろいろあります。紹介したり、お世話をしたりする窓口にしたいと願いをこめての看板です。まだまだ京のお宿、お寺の拝観の予約、なんでもや、よろずやになったわけです。そんなことも奉仕のひとつかも知れません。
 長男貴行が大学を卒業して、呉服業界に進み、7年前家業に従事しています。ぼちぼち私の商いを越えるようになってまいりました。家族が愛和して仕事に若い情熱をもって私の若い頃と同じようにお客を自分で開拓しています。私が言わなくても、教えなくても、自分で自分の道を切り開いてゆくでしょう。老舗の問屋が室町から消えてゆく時代です。町から呉服がなくなってゆく時代です。いつの時代も自らがお客と対話して、自分の道を皆様とともに築きあげてゆく、実践をしてゆかなければならない、のりこえて、新しい老舗として生きのこることが大切と思います。人と世の為にお役にたつ、健康で働くよろこびに明日への活力をいただいているのだと思います。
 まずは愛和の家庭から、どんなことがあってもわすれてはならないのは、父母の尊い人生努力のたまわりものです。






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