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「ロータリー理解推進月間」
  情けは人の為ならず
  実行することで学ぶものがたくさんあります


国際ロータリー第2650地区ガバナー 大久保 昇
大久保 昇

 新しい年をむかえて、昨年の7月以来、ガバナー公式訪問で各クラブからお寄せいただいた熱い友情とロータリーの理解に対し、心より感謝の意を表します。地区全クラブを訪問し、それぞれのクラブの歩み・歴史が現在の多様な奉仕活動につながっていることを教えられ、私自身、ロータリアンとしての自覚と誇りを新たにするとともに、学ばせていただくことの多い訪問でした。ありがとうございました。

情けは人の為ならず
 6カ月間の公式訪問を通じて思いうかべたのが、この日本のことわざでした。
 他人に情けをかけておくと、それがいつかは自分のためになる、という意味のことわざですが、古くから軍記物・謡曲・歌謡などさまざま文献にもみられるし、今日もよくつかわれます。
 ところが、ことわざの「為ならず」を「為にならず」と解釈して、へたに人に情けをかけて助けるのはその人のためにならない、かえって自立をさまたげる、と受けとる解釈が昭和30年代からひろがり、いまではこれが主流となっているようです。自力、自助、自立などの言葉がひろく言われるようになったことから生まれた解釈のようです。
 もっとも、もとのことわざの意味理解に、情けをかけるときに多少とも見返りを期待し応報をひそかにねがう、つまり打算につながる心情がはいりこむ余地があるようです。
 鎌倉時代に成立した軍記物のひとつ、『平治物語』(3巻、作者不詳)に、鵜飼にいのちを救われた源頼朝が、二十数年後に鵜飼をさがしだし、受けた恩義にむくいた話が載せられており、「情けは人の為ならずとも、かやうの事をや申すべき」と記されています。このときの頼朝は、見返りを期待していない鵜飼の無償の情けに純粋の恩返しをした、と物語の作者は言っているわけです。
 これが、ことわざの真の意味です。たとえ打算の心情が入りこむ余地があるとしても、その打算を嗅ぎつけるのは解釈する人の心でしょう。

 ロータリーの「奉仕の精神」は、「最もよく奉仕する者、最も多く報われる」という国際ロータリーの最初のモットー・標語につづく「最もよく仲間に奉仕する者は、最も多く報いられる」「無私の奉仕」「超我の奉仕」によくあらわれていますが、これらのモットーは日本のことわざ「情けは人の為ならず」の心に通じるものと思っています。
 このモットーの移りかわり、というより広がりは、ロータリアンが実践してきた「奉仕」の内容の移りかわり・広がり――会員の相互扶助的なものから、地域社会を対象にした奉仕活動へ、さらに地球規模の奉仕プロジェクトへと拡大・進化したことの反映とうけとめることができるし、ロータリーの100年の歴史だと思います。
 「超我の奉仕」といえば難しく感じますが、他人(ひと)に思いやりの心をもつことだと思います。日本人は「他人事(ひとごと)と思えない」という慣用語をよくつかってきましたが、他人(ひと)のことを自分のこととして心配し、必要なら情けをほどこし援助するのを、ともに生きる近所づきあいと考え、人間として当たりまえのこととして実行してきたはずで、これこそ(テレビの番組名ではないが)「ご近所の底力」というべきでしょう。その心を、底力を、民族、宗教、言語、生活習慣に関係なく、地球上でともに生きる人たちにも広げようというのが「国際奉仕」の精神であろうと思います。

 ロータリーの「奉仕の精神」への理解は、まず、ロータリーの歴史から学ぶことからはじまり、さまざまなかたちの「奉仕の行動」のなかで理解がより深まるのではないでしょうか。(そのことを強く感じたのが、公式訪問で聞かせていただいたクラブの奉仕活動の事例でした。)
 ロータリーの具体的な奉仕の目的・目標は、四大綱領に示されています(要覧およびロータリー情報マニュアルに掲載)。これをふまえた、激動する現代社会・国際社会のニーズに応える多様な活動計画とその行動のなかでこそ、「奉仕の精神」をより深く理解することになり、他人(ひと)とのかかわりあいをより良いものにすることができるはずです。
 このような「奉仕」を積みあげたロータリアンは、ことわざ「情けは人の為ならず」の真意をきちんと読みとることになるでしょう。そう信じています。

貧者の一灯
 ふと思いだしたのは、古くから使われてきた言葉「貧者の一灯」です。
 もとの言葉は「長者の万灯より貧者の一灯」で、物や金銭の多少より人の心、誠意が大事だということのたとえであることは、ご承知のとおりです。中国の古いお経の本『阿闍世王授決経(あじゃせおうじゅけつきょう)』にかかれた故事がもとになった言葉で、日本の平安時代の仏教説話でも紹介されています。
 この古くからの言葉をかみしめ、わたしたちロータリアンは、はじめから「万灯」を目標にするのではなく、身近なところから「奉仕」の行動を起こし、そのなかでロータリーの歴史に学びながら「奉仕の精神」をより深く理解して、行動の輪を地球規模に広げていきましょう。
 わたしたちの後ろには、ロータリーの「超我の精神」を受けついでくれる信頼すべき多くの若い世代がつづいています。
 若い世代は、わたしたちの背中を見て歩いています。

【ロータリー理解のためにお読みいただきたい文献・資料紹介】
 各クラブの委員会等で活用してください。

◇『ロータリー要覧』
◇『ロータリアン必携』
◇『ロータリー情報マニュアル』
◇『ロータリーの友』
◇『ザ・ロータリアン』(RI公式機関誌)
◇『ガバナー月信』

インターネットのホームページ
◇『ロータリージャパンウェブ』(日本語)
http://www.rotary.org/languages/japanese/
◇『RI第2650地区ホームページ』
http://www.rid2650.gr.jp/
◇全国ロータリアンインターネット協議会(JRIC)
http://www.jric.gr.jp/


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Copyright 2005 Rotary International District 2650.
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