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ロータリークラブ「奉仕の一世紀」(6)  (1991〜2006)
RI2650地区2005〜06年度ガバナー 大久保 昇

グローバル時代の開幕とポリオ・プラス
 1990年以降、今日に至る世界の特色は、あらゆる意味で「グローバル化」が進行したということでしょう。ポール・ハリスがロータリークラブを創設したころにはテレビもラジオもなく、インターネットはむろんありませんでした。しかし、今ではパキスタンで地震が起これば、数分後に世界中がそのことを知り、テレビ画面にその様子が映し出されます。それを見た直後にイスラマバードに勤務する友人に、パソコンでメールを送って安否を問い合わせることが、ごく日常的なこととして行われています。
 そして、そのコンピュータは、日本、中国、インド、アメリカなど世界中の国20カ国で作られる部品で組み立てたものであることを思うと、世界の経済は、密接に結びあわされていることが解ります。昨今、「グローバル・ビレッジ(地球村)」という言葉が使われますが、世界は今や一つの大きな村のようなものになったと言えそうです。
 2005年にシカゴで開かれたロータリーの100周年記念国際大会にメッセージをいただいた、国連のアナン事務総長から「世界を見渡すとまだ貧困や健康、教育などの問題を抱えている国は多い。世界にネットワークを持つロータリークラブに、平和問題とともに、こうした問題にも力を貸していただきたい」とうったえられました。今や世界166カ国に120万人を超える会員を持つロータリーに向けられた熱い期待には、やはり応えていかなければならない時代になったのです。
 国際ロータリーが全世界のロータリー・クラブに提唱して、2005年の100周年までに世界からポリオを絶滅しよう、というプロジェクト「ポリオ・プラス」をスタートしたのは1985年でした。今では日本を含めた先進国ではワクチンを接種することが常識になっています。しかし、まだ世界にはワクチンが普及していない国も多く、ロータリーは世界保健機構(WHO)と協力して全世界にポリオワクチンの接種を徹底したいと考えたわけです。
 接種活動は、主に発展途上国の厚生省、地方自治体保健当局などと協力して実施、ロータリークラブ会員はワクチン輸送、接種の意義、日時、場所の広報、医務要員の手当などに全面協力しています。すでに全世界の児童約20億人がポリオ・ワクチンの接種を受けたものと見積もられています。実際にワクチンの投与が行われている現場にもできるだけ参加しようということで、私もラオスやラバウル(パプアニューギニア)、レイテ(フィリピン)などを訪問してきました。
 このようにして、ポリオ・プラスは2005年の100周年までには世界中の国々をカバーし、少なくともポリオに関しては、ほぼ絶滅に近い状況を作り出しました。今後力を入れなくてはならない病気としては、エイズやマラリヤが残っていますが。

ますます重要度を増すロータリー財団の役割
 いま、ロータリーが行なっている大きなプロジェクトには、大規模な保健・貧困・飢餓追放・識字率向上・環境整備・水資源問題・エイズ予防等があります。これらはいずれもロータリーアンの奉仕だけで実現できるものではありません。関連する多くの機関の協力を得てできるもので、そうした機関を財政的に援助することではじめて可能になります。
 ステンハマー会長がシカゴの国際大会で強調されたことのひとつに、今年度は世界中のロータリアンが少なくとも100ドルをロータリー財団に寄付して欲しい、ということがありました。会員は120万人以上いるので、これで1億2000万ドルの基金が財団に入るというアイディアなのでしょう。むろん、一人100ドルといっても日本では約11,000円ですが、年間の平均所得が数百ドルといった国も入れての話しですので容易な金額ではありません。当RI2650地区では2004〜2005年度で一人当り寄付額113ドルを達成しましたが、地区財団目標額は、今年は何とか150ドル以上を達成したいと考えております。

大成功に終わった初の大阪における国際大会
 2004年5月、日本で26年ぶり、関西では初めてのロータリー国際大会が大阪で開催されました。参加は実に47,000人と史上最多の人数を集め、大成功の大会となりました。大会委員長は元RI理事の千玄室氏、副委員長は故小谷隆一氏・今井鎮雄氏・戸田孝氏・中島冶一郎・古田敬三氏・熊谷信昭氏、実行委員長は近藤雅臣氏、実行副委員長は吉川謹司氏・井上暎夫氏が務められました。
 当RI2650地区もホスト4地区のひとつとしてご協力したわけですが、おかげ様で沢山の知己をつくることができ、大成功の大会だったと思います。
 昨年、シカゴの100周年国際大会に出席したとき、会う人ごとに「大阪大会はすばらしかった」と言われ、とても誇らしく感じました。

21世紀のロータリーを展望する
 シカゴのダウンタウンの一角で仲間同志の友情を深めるために始まったロータリーは、いま世界に広がり、奉仕という根本の思想は変わらないにしても、その対象とする世界は大きく変化しています。
 いま、ロータリーが目標としている保健・識字率向上・水資源問題も、世界を対象にする以上、巨額の資金がなければ実現不可能です。そのため、ロータリー財団の存在意義はますます高まることは確かです。アーチ・クランフは1951年に亡くなる前に「財団のあるべき姿は、資金と人の組み合わせである」として「金だけでは大したことはできない、でも個人の奉仕は金がなければ無力である」と述べています。
 要するにロータリーが伝統としてきた奉仕の精神を貫きながら「友情の輪」をどこまでも広げていく、そうあってこそ財団資金の本当の活用が可能になると言いたかったのでしょう。
 現在ロータリーは識字率など途上国の教育問題に取り組んでいます。ところで日本は世界有数の教育国だと考えられているのですが、最近マスコミに報道される日本の青少年の犯罪を見るといささか不安を感じざるを得ません。
 ただでさえ少子化で数が減りつつあるわが国の青少年を、健全で思いやりの心を持つ立派な大人に育てなければなりません。ロータリーの職業奉仕、社会奉仕にはこうしたテーマも忘れてならないと思います。まず足元をきちんと固めた上でロータリー財団を一層充実させ、世界中のさまざまな機関と協力し、それらの団体との間にしっかりとした「かけ橋」を築くことによって、われわれ21世紀のロータリーに期待されている役割を、この地球村で人類全体のために果たしていくべきと考えます。

1991年から2006年のRI2650地区クラブ拡大
 1991年から2006年は、当RI2650地区では以下のクラブが誕生しています。1991年には橿原中央(あすか)RC・京都中RC・京都紫竹RC、1992年には京都嵯峨野RC、1993年には福井フェニックスRC・京都朱雀RC、1994年には亀岡中央RC、1995年には大津唐橋RC、1996年には京都田辺RC、1997年には八日市南RC、1998年には京都モーニングRC、2001年には福井あじさいRC、2002年には敦賀西RC・京都平安RC、そして本年度2006年には福井水仙RC・京都さくらRCの16クラブが誕生しております。
 これまで6回にわたって1905年の創立から今日まで、ロータリークラブが歩んできた奉仕の1世紀を回顧してきました。そしてロータリーは今年新しい世紀を迎えたのです。この記念すべき年にRI2650地区は「かけ橋の年」と「行動するロータリー」をテーマとして活発な活動を続けてきました。「かけ橋」の意味するところは、過去1世紀にロータリーが築きあげてきた奉仕の精神を次の1世紀に受け継いでいくことであり、またロータリー以外の様々な組織や団体と密接な協力関係を樹立することでもあるのです。「行動」の意味するところは、地域社会のニーズに呼応してタイムリーな活動を展開することであります。本稿の完結にあたり新世紀を迎えたロータリーのますますの発展を祈るとともに、皆様の果敢なるご活躍を期待したいと思います。(完)

国際ロータリー2004年国際大会
国際ロータリー2004年国際大会
国際ロータリー2004年国際大会(関西)
会期:2004年5月23日(日)〜26日(水)会場:大阪ドーム・大阪国際会議場・リーガロイヤルホテル


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Copyright 2005 Rotary International District 2650.
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