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spacer.gif ガバナー月信6月号
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特集 私の職業奉仕(4)

 口で言える苦労はたかが知れている 竹本和生(京都西RC)
 禅の各派官長さんやお師家さんの書かれた墨書を、墨蹟と言います。その墨蹟を、時候を背景に十二ケ月に分類した禅のカレンダーを製作し、販売する出版印刷物を世に問うたのは今年から三十三年前の事です。
 当時は、世界万博が初めて日本で催され、エコノミックアニマルとういう言葉が流行し、心を大切にするよりも経済が優先し始めた時代です。巷間には多種多様なカレンダーが氾濫し家庭ではどのカレンダーを棄てるのかと言われた時代でした。松竹株式会社のテレビプロデューサーを罷めて熟考し選択した私の仕事は、早く言えば、坊さんに字を書いて貰って売るという当時では常識を疑われました。破天荒な企画に妻を始め多くの人は反対しましたが、私の執念に皆はあきらめて見守る中で、遂に妻だけが支えてくれました。謝礼等経費のランニングコストは、最低五千部(壱部売価/五百円)を販売しないと経常収支は赤字になる、そんな単純な事も言ってしまえばそれまでですが、当初は色々言うに言えない事ばかり、私は今多くのスポンサーを得た時、口で言える苦労などはたかが知れているという事に初めて気付きました。信念と打算の二重構造では成就しない事を知りました。
 ロータリークラブでは、皆が奉仕の名のもとに無報酬で、頑張っている人の集団です。その集団の中で、二十年も三十年も努力を続けられた先輩の背中から教わる事は深くて重い。それらは口では言えないのです。書く事も出来ないのです。了

 「金看板」の行方? 栗原伸治(京都西RC)
 今こそロータリーの職業奉仕が真価を発揮すべき時。ロータリーが誕生した時、シカゴの街は著しい社会経済発展の陰で商業道徳の欠如が目立つ様になっていた。青年弁護士ポールハリスがこの風潮に堪えかねて友人三人と語らい、お互いに信頼できる公正な取引をし仕事上の付合いがそのまま親友関係にまで発展するような仲間を増やしたいという趣旨でロータリークラブが誕生した事は誰もが認識している事実である。今やバブル経済崩壊後その後遺症を引き摺り乍ら何とか景気回復の兆しが見えはじめた時。不幸にして手段方法を選ばない商売道徳。倫理を逸脱した商いが猛威を振って世間を混乱させた。金さえあればルールを無視し法の盲点をくぐり手段方法を選ばず何でもありの商行為が蔓延し始めた事は嘆かわしい。ロータリーの職業奉仕こそ今日の社会に最も必要な教訓であり金看板の威力に期待がかかる。ロータリアン自身も夫々が率先して範を示す絶好の機会である。
 創立101年目に突入したロータリーも、発展・改革が進んできたが綱領や四つのテストは不変であり原点・基本理念は尊重すべき。地域社会から職業を代表して選ばれた会員は事業及び専門職務の道徳的水準を高め、あらゆる有用な業務は尊重されるべきであると云う認識を深める事、ロータリアン各自が業務を通じて社会に奉仕するために業務を品位あらしめる事を改めて自覚すべきである。
 近頃やゝもすると自己中心的な商行為によりルールを逸脱し、平気で人に迷惑をかけたりロータリアンとして品位や信頼を裏切る行為が嘆かわしい。
 ロータリアンとして恥じない正々堂々とした事業を展開し職業奉仕を実践するには、経営手腕以上に人格を磨く事が大切である。今やロータリアンとして求められる、良心的な心のこもった職業奉仕をすべてのロータリアンが実践し社会に貢献をすべきである。
 今日まで長年の金融機関勤務で経験してきた事、現在病院で経験・体験している事、いずれも共通する、命から二番目に大切な金、かけがえのない人の命、緊張連続の大切な職務。
◎経験から実践中の「私の四つのテスト」
 (1) 世のため人のためなるよう、
 (2) 手間ひまかけて心して、
 (3) 誠心誠意、
 (4) スピーディーに対応
 を、常に心がけている。

 今こそ職業奉仕 雨堤孝夫(宇治鳳凰RC)
 耐震強度偽装、いき過ぎたマネーゲームなど、とんでもない出来事が起こっています。拝金主義とでもいえるこれらの出来事は悲しいけれど今の我が国の現状であり、どこかで進む道を間違えたように思われます。景気は良くなっている、とのことですが大企業や一部の業種に限ったことのように思われる。私のような零細企業では以前より厳しくなっているようにすら感じている。下請けに対する情け無用の対処は我慢の限界を超えている。
 また同業者間でも、自分のことだけ良ければそれで良い、との考えは間違いであり、業界全体の発展にはマイナスになることが多い。無理な受注は企業の体力を奪い、やがて自分や従業員とその家族にしわ寄せが回ってくる。
 私は建築関係の仕事をしている。ここ数年、悪質なリフォーム業者が不必要な工事を勧誘し、法外な金額を提示する事例が多く、時には強引に契約までさせてしまうケースもある。不安に思って相談にこられる方には適正な診断を行い、必要な工事を適正な価格で見 積もりをし、契約 施工をする。強引な契約をさせられた方にはクーリングオフの手伝いをすることもある。これらの仕事はなにも難しいことはでななく専門家としてまじめに仕事をすることでお客さんに喜んでもらい会社もそれなりの利益を得る。これがささやかな職業奉仕と考えている。
 額に汗して働いている者が報われる世の中にするために、今こそ職業奉仕を守り、ロータリーの金看板である職業奉仕の啓蒙と実践をしっかりと遂行することが必要だと考えます。

 顔の見える奉仕 辻 幸男(宇治鳳凰RC)
 「職業奉仕とは?」と問われても、なかなか明快に答えることができません。
 ただ、事業及び専門職務に携わるロータリアンが道徳的水準を高め、己の職業を通じ地域や社会に貢献するものと解釈しています。それには常に倫理観を持ち誠実に事業や仕事を遂行する事だと思います。
 また、例会出席も大変大事であると考えています。重要な仕事と例会日が重なり入会して一年くらいはかなり苦労しましたが、今では結構スムーズにローテーションを組み、ロータリーあっての仕事・仕事あってのロータリーと思っています。週一回の例会に出席し卓話やメンバーの意見や考えを聞かせてもらい、気の合う仲間から刺激を受け元気をもらい仕事をする励みにしています。
 事業とは営利事業であり、ただただ利潤を追求するものと一部の人には思われがちですが、常に倫理観を持ち自分の職業を律し行動していれば、自ずと利は付いて来るものと思います。世情をにぎわしております耐震強度偽装問題も、この教訓を守っていれば起きなかった事件であったと思います。
 大手証券会社の株発注入力ミスでも倫理観が欠如して、法律に触れなければ何をしても良いと便乗し、まるでハイエナのように欲のかたまりで群がりました。IT産業も科学万能主義の一端を担い、一瞬のうちに天国を味わう人間と地獄を味わう人間を生んでしまうのです。ミスをした当事者が慌てふためきオロオロする姿を見たら、とてもハイエナのような気持ちには普通なれませんが、コンピューターの画面の数字だけを見てギャンブルゲームの感覚でいると血の通わない尋常でない無機質な人間になってしまうのです。世の中全部モラルや礼節が欠如し、このまま破滅への道へ進むのを阻止できるのは良識ある人間たちだけだと思います。
 職業奉仕とは近江商人の経営哲学である、三方良し(売り手良し・買い手良し・世間良し)の精神と共通すると思います。
 職業奉仕を実践し、独りよがりでただ自己満足だけで済ますことの無い、本当に感謝される、顔の見える奉仕こそ超我の奉仕と言えるのではないでしょうか。



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